第30回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 受賞記念対談(野矢茂樹)
「ロボットが隣人になるとき」は「自分の意志で自由に行動するロボット」は作れるか、という問いを探求します。それは技術的な問題ではなく、哲学的な問題として提示されます。「AIのブラックボックス化」「欲求と意志の違い」「意志の弱さに自由がある」という観点から議論が展開されます。ロボットと人間の関係性を深く考察することが大切です。
要 約
第一段落
「自由意志を持つロボットが作れるかどうか」
それは単なる技術的な問題ではなく、哲学的な問いでもある。なぜなら、「意志」や「自由」の定義が明確でないからだ。例えば、「アリは自分の意志で自由に行動しているのか?」という問いに対する答えは明確ではない。したがって、自由意志を持つロボットを作る前に、「意志」と「自由」の意味を理解する必要がある。
第二段落
ロボットやAIの「自由意志」について
直感的な理解ではロボットはプログラムされた通りにしか動かないため、自由意志を持つことはできない。しかし、近年のAIの進化により、AIは自己学習能力を持つようになり、開発者自身がどのように動くか予測できないほどになっている。これはAIが「ブラックボックス化」しているとも言われる。ブラックボックス化したロボットが登場すればAIの進化により、ロボットやAIが自由意志を持つ可能性があると指摘している。
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第三段落
「意志」と「欲求」の違いとロボットの自由意志にどう影響するか
欲求は何かをしたいと思う気持ちであり、意志はその欲求から特定の行動を決定する力である。例えば、「ラーメンを食べたい」は欲求で、「今は勉強しよう」と決めるのが意志だ。また、意志は「自分が自分にする約束」とも表現され、その実現に向けて行動しなければならないと述べている。この意志や約束は社会的な存在だけに可能である。ロボットが自由意志を持つことが可能かどうかは、私たちがロボットをどのように受け入れ、ロボットと約束を交わし、その約束を守るかによる。それは私たちの生き方を変える大きな問題であり、簡単なことではないが、不可能ではない。
第四段落
ロボットの自由意志について
最適な行動を計算し、その通りに行動するだけのロボットには自由意志はない。一方で、迷いや挫折を経験しながらも行動する人間のような「意志の弱さ」を持つロボットが作れる日が来ると期待している。そして、そのようなロボットは道具ではなく、対等の隣人として受け入れられ、自分の意志で自由に行動する存在となるだろう。
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探求的な考察
以下の会話文は、先生と学生たちが文章の中に含まれる問題を探し、それについて議論しています。空欄に入る語句を下の語群から選びましょう。
先生: さて、今日は野矢茂樹さんの「ロボットが隣人になるとき」について考えましょう。この文章にはいくつかの問題が含まれています。さやかさん、ふうかさん、何か気づいたことはありますか?
さやか: はい、先生。この文章では、「自分の意志で自由に行動するロボットは作れるだろうか」という問いが書かれています。しかし、「意志」と「 ① 」の違いがよく分かりません。
ふうか: 私も同じことを思いました。例えば、「意志」とは何か、「( ① )に行動する」とはどういうことなのか、この二つの意味がはっきりしないと( ② )を持つロボットが可能かどうかを考えるのは難しいと思います。YouTubeには人間を滅ぼすって言ってるロボットが登場していたし…。
先生: なるほど、大事なポイントですね。「意志」は自分で何か目的を考えて行動するという意味でしょう。「自由」の意味は…YouTubeを見ると何か恐ろしい感じもしますね。また、この文章では「意志」と「 ③ 」の違いについても触れています。これについてどう思いますか?
さやか: 「意志」と「 ③ 」の違いは分かりやすいです。「 ③ 」は何かをしたいと思う気持ちで、「意志」はその欲求からどれか一つを選び、それを実現するための決断ですよね。
ふうか: そうそう。そして、この「意志」は自分自身に対する「 ④ 」のようなものだと述べられていて、少し不思議な感じがしました。
先生: 確かにそうですね。最後に、この文章は「 ⑤ 」ロボットが可能かどうかについても議論しています。これについてどう思いますか?
さやか: さやか: 私は( ⑤ )ロボットは近い将来、身近な存在になると思います。YouTubeには人間のように話すロボットがたくさん紹介されています。でも、可能かどうかは技術的な問題だけでなく、私たちがロボットとどのように付き合っていくかという問題でもあると思います。
ふうか: 私も同じです。そして、ロボットが( ② )を持つとは、ロボットが社会的な存在になり、人間と同じように約束、社会のルールを守ることができるということだと思います。
先生: とてもよく理解できましたね。ところで、途中で見たYouTubeにはこれからのロボット(AI)と人間の関係性について考えなければならない問題がたくさん述べられていましたね。高校生が40歳くらいになったとき技術的特異点(シンギュラリティー)が来ると予想されています。自分たちの問題としてしっかり考えましょう。
【語 群】ア 自由 イ 約束 ウ 欲求 エ 自由意志 オ 人間的な
答 え
- ア
- エ
- ウ
- イ
- オ