朗 読
動 画
【運慶が明治に生きている理由】夢十夜(第六夜)【かっちゃんねる教育】
問 題
〈 第 一 夜 〉
- 「とうてい死にそうには見えない」のはなぜか、簡潔に説明せよ。
- 「真っ黒な瞳の奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる」はどのような様子を表しているか?
- 「そこ」とはどこか?
- 「にこりと笑ってみせた」とあるが、このときの「女」の笑いにはどんな意味がこめられているか?
- 「百年」は何を象徴しているか?
- 「女」の涙にこめられた意味とは?
- 「『百年はもう来ていたんだな。』とこのとき初めて気がついた」とあるが、どうして「自分」は百年経ったことに気づいたのか?
〈 第 六 夜 〉
- 「明治」と「運慶」「護国寺」という組み合わせは何を意味しているか?
- 「よほど無教育」と評価するのはなぜか?
- 「評判には委細頓着なく」のほかに、運慶の制作態度を表した表現を全て抜き出せ。
- 「大自在の妙境」は運慶のどのような様子を表すか?端的に言い表した連続した二文を抜き出せ。
- 「無遠慮」とほぼ同じ意味で用いられている言葉を本文中から三字で抜き出せ。
- 「運悪く掘り当てることができなかった」という言い方からどのようなことが読み取れるか?
- 「急に自分も仁王が彫ってみたくなった」のはなぜか?
語句の確認
※問題と答えはダウンロードして見てください。
ディベート
先生:それでは、まず夏目漱石の「夢十夜」第一夜についてディベートしましょう。この物語は、主人公が見た夢を描いていますが、その夢の意味についてどう思いますか?
いちか: 私はこの夢が主人公の孤独感を象徴していると思います。主人公が見たのは、自分だけが存在する世界で、それは彼が孤独を感じていることを表していると思います。
ゆりあ: それは面白い視点だわ。でも、私は違う意見です。私はこの夢が主人公の自由への憧れを表していると思います。彼が見た世界は、誰にも邪魔されずに自由に生きられる世界だと思います。
あやな: 私もゆりあさんの意見に賛成です。でも、その自由が同時に彼にとっての孤独でもあると思います。つまり、自由と孤独は表裏一体なのかもしれません。
先生: なるほど。では、次に第六夜の「明治の木には仁王は埋まっていないと分かった」について、どう思いますか?
いちか:私は、この部分は現実と幻想の境界を示していると思います。主人公が仁王が埋まっていないことを確認することで、彼の夢と現実の区別がつかなくなっていることを示しているのではないでしょうか?
あやな:うーん、それは私には難しい話だわ。私は違うことを考えてみました。この一節は、明治時代の変化と混乱を象徴していると思います。仁王が埋まっていないことは、古い価値観や信仰が完全に消え去ったことを示しているのではないでしょうか?
ゆりあ:あやなさんの意見に賛成です。さらに、この一節は主人公自身の心情の変化も表していると思います。仁王が埋まっていないことを確認する行為は、彼が自分自身の心の中にある古い価値観を捨てる決意をしたことを表していると感じました。
先生:夏目漱石の作品は、その深い意味を探ることで、私たち自身の感情や人生について考えるきっかけを与えてくれますね。
夏目漱石が「夢十夜」を書いた理由
- 漱石自身の内面の不安や恐怖、空虚感を表現するため。
- 夢の中で感じた様々な感情や体験を十の異なる夢の形で描いた。
- 漱石は文学的な実験を試みており、幻想的な要素を取り入れた作品を執筆することに興味を持っていたから。
- 「夢十夜」は1908年(明治41年)に『東京朝日新聞』で連載された。
- 漱石の個人的な関心と彼が時代の変化に影響されたから。
※彼の作品は当時の社会や文化の影響を受けながらも体験や感情を反映しています。
模 範 解 答
- 《第一夜》
- 答1「女」の頰に血の色が程よく差し、唇が赤い様子からは、健康であるように見えるから。
- 答2 瞳が鏡となって、自分の姿がくっきりと映っている様子。
- 答3 「女」の「真っ黒な瞳」
- 答4 安心して私を信じてほしいという「女」の気持ち。(「自分」が「女」に感じているような愛情を「女」もまた「自分」に抱いている。)
- 答5 永遠
- 答6 死別の悲しみ。(約束を交わすことができた安堵。)
- 答7 真っ白な百合の花を転生した「女」、あるいは「女」の化身と感じ取ったから。
- 《第六夜》
- 答1 時間的な矛盾があることから、それ以降が「夢」の中の話であることを表している。
- 答2 仁王の芸術としての価値、運慶の芸術家としての価値を、「車夫」たちがまったく理解できていないから。
- 答3 「一向振り向きもしない」「不思議とも奇態ともとんと感じ得ない様子」「一生懸命」「眼中に我々なし」
- 答4 「その刀の入れ方がいかにも無遠慮であった。そうして少しも疑念をさしはさんでおらんように見えた。」
- 答5 無造作
- 答6 素材(仁王)に出会うことさえできれば、自分にも運慶のように彫刻することが可能である、という短絡的な思考。
- 答7 彫刻があらかじめ木の中に埋まっているものを掘り出すものであるのなら、(運慶のしていることが)自分にもできるはずだと考えたから。