「羅生門」【アクティブラーニング】 

「羅生門」(全4時間)

ここでは4時間(50分授業)で実施する予定で「羅生門」を授業で扱う場合を取り上げます

ここで想定しているのは学力的にはごく平均的な生徒たちで作業などを地道にする生徒たちです

アクティブラーニングを実施する手順は以下の通りです

※下の方には私が作成したYouTubeの動画もあります(参考になれば幸いです)

グループ分け

音読

1:読解(インプット)

2:説明(アウトプット)

3:読解(インプット)

4:説明(アウトプット)

・まとめ

【一時間目】

【音読】ペア(もしくはグループ)【10分】←時間はあくまでも目安です

ペアかグループができたら

次に音読です(私のオススメはリレー読みです)

注意すべき語句は下にある「羅生門 テスト対策」をご覧ください

最初に範読をしますが(「朗読 羅生門」)

最後まで通してもいいですし、段落ごとに句切っても

かまいません(場面の変化に注意して本文全体を四つの段落に分ける)

遊びにならないようにしっかり読ませましょう

机間巡視をしっかりしてください

教壇に立っていては生徒の活動の様子が分かりません

生徒たちが読んでいる時に読めないところを発見しましょう

簡単なことが分からなかったり意外なことを知っていたりします

生徒の間違いに気づいたらその時点で全体に

正しい読みを伝えます

羅生門 テスト対策 

:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

正しい情報(客観的な情報)の把握

◆小説に描かれた登場人物・情景・心情などを読み取り、芥川龍之介と時代背景について確認する

※【アニメ 羅生門】や教科書、便覧などの写真を見て羅生門(羅城門)のイメージをつかむ 

【注】必ず机間巡視や生徒の活動の場に入って何を話しているのか確認します

生徒たちの話し合いを聞いていると彼らが何を読み取ってどんな角度から作品を読み取っているかよく分かります(アクティブラーニングは一方的な知識の伝達ではなく、生徒たちの気づきを待って進めていく授業です)

 

2:【説明】ペア(もしくはグループ) 【10分】

◆第一段を読んで「下人」の内面について考える

※「下人」の悩みの内容が何なのかを話し合わせる

【注】机間巡視をしながら生徒たちの言葉に耳を向けます

下人に関する表現を拾い集めて話している声が聞こえてきたらうまく進んでいる証拠です

:【読解】ペア(もしくはグループ) 【10分】

ペアやグループによってはうまく話が進まなかったり少しふざけていい加減なことを言う生徒が居たりしますので一度読み取った内容を整理します

先生がまとめてもいいですができれば生徒たちに積極的に発言させたいですね

【注】第一段落の場面や下人のどんな心情が前提となって第二段落に続くかを考えさせます

 4:【説明】(グループ)※省略可【10分】

次に「学習課題ノート」などの問題(第一段落)を解かせましょう

しっかりと読み取りが出来ていれば答えを出すのは簡単にできるはずです

【二時間目】

【音読】(グループ)※ペアでもかまいません【10分】←時間はあくまでも目安です

第二段落を音読させます

前回の授業から時間が空いていれば

音読は不可欠です

仮に連日の授業でも私は音読をさせます

内容を何度も確認させ、その後の授業に入りやすくします

1:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

前回の学習内容の確認のあと

「第二段落で『下人』の行動がどのように変化したか」と板書し、それぞれのペアで読み進める 

【注】生徒たちが読み込んでいる時や考えている時は待つことが大事です

生徒たちが集中して静かだと多少の不安を感じるかもしてませんがそこはグッとこらえて生徒たちが読み終えるまでそっと見守って行きましょう

どんなに読解力がある生徒でも先生が思うほど簡単には読めません

もしここに時間がかかって一時間が過ぎたとしてもまったく問題ではありません

2:【説明】ペア(もしくはグループ)【10分】

第二段を読み、下人の行動と心境の変化について一人が相手に説明します

教科書を見ながら前から順番に気になる表現を拾わせてもいいでしょう

どこまで読み取ればいいか、その基準を示したいなら最初にプリントを作ってもいいですね(私は指示を板書してノートにまとめさせます)

アクテイブラーニングは「対話的で深い学び」と定義されています

正直に言えば子供たちの活動に頭でっかちの大人が考えた用語を当てはめるべきではないと思います

なぜなら、どんなに成績優秀でも高校生はまだ子供です

子供たちに大人の考えを当てはめようとしても必ず齟齬そごが生じますから

それに私たち大人でさえ毎日、勉強なんてしたくもないと思います

「子供たちを自然に授業に参加させるためにどうするか」ということが一番重要です

3:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

2:【説明】でお互いの読み取りを確認したら今度はノートを使ってまとめさせます

(気の利いた生徒ならすでに2:【説明】の時点でノートにメモしてるでしょうからその子を中心としてまとめさせるように指示します) 

ここでは作業させます

下人の変化を箇条書きにして書き取らせます

ノートに書き写すだけでも授業に参加してる感じが教室に出てきます

4:【説明】(グループ)※省略可【10分】

次に「学習課題ノート」などの問題(第二段落)を解かせましょう

授業の最後には学習ノートをやるというリズムを付けておくと生徒にとってはルーティンとなりテスト前に課題ノートを復習する習慣が付きます

課題ノートを導入しても使わない学校もあるとは思いますがここではの作業のひとつとして授業に組み込んだ実践を上げておきます

模範解答を見ながらやらせるのではなくあくまでも自分がノートにまとめたことを書かせるようにします

時間目】

【音読】(グループ)※ペアでもかまいません【10分】

第三段落を音読させます

私は国語の授業に関してはとにかく音読が大事だと考えています

斎藤孝先生の「国語は体育だ」というお考えにとても近い発想です

1:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

「下人に関する描写」と「老婆に関する描写」と板書しそれぞれ読み進める

黒板を上下に分け(真ん中に横線を引き)上に下人下に老婆と板書して順番にそれぞれに関する描写を抜き出すように伝えます 

下-人-に関する描写-老-婆-に関する描写

2:【説明】ペア(もしくはグループ)【20分】

1:【読解】で読み取ってノートにまとめたものをお互いにシェアします

※グループなら班長に指示を出させて一人が読み上げたものをほかのメンバーが聞き取りながら意見を出し合います

3:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

「下人に関する描写」と板書してあるところにそれぞれのペア(グループ)の読み取りをまとめます

答える人を指名して板書させましょう

(下人と老婆をそれぞれ1人か2人に書かせます) 

生徒たちの活動で必ず全ての答えが出てくるわけではありませんのでそこは先生が板書を工夫しながらまとめてください

下人や老婆の心境を示す表現は「赤」を使うなど色を使い分けると見やすくなって生徒たちも一目で流れが分かると思います

この時間はここまで進めばオーケーです

時間目】

【音読】ペア(もしくはグループ)【5分】

第四段落をリレー読みします

私の授業で音読は欠かせません

でも、何度も音読をしていると生徒たちは楽しんで読むようになります

先生が読ませるのとは違った雰囲気が出てきます

音読が当たり前になるまで根気強くやりましょう

1:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

「老婆の話を聞いて下人の気持ちがどのように変化したか」と板書して読み取りをすすめましょう

「老婆」の主張を聞いた後の「下人」の心境や行動がどう変わったか考えさせ老婆や下人のその後についても考えさせます

2:【説明】ペア(もしくはグループ)【20分】

1:【読解】で読み取ってノートにまとめたものをお互いにシェアします

※グループなら班長に指示を出させて一人が読み上げたものをほかのメンバーが聞き取りながら意見を出し合います

3:【読解】ペア(もしくはグループ)【10分】

「老婆の話を聞いて下人の気持ちがどのように変化したか」と板書してあるところにそれぞれのペア(グループ)から答える人を指名して板書させましょう

(下人と老婆のその後についてもここで書かせてもいいと思います) 

4:【説明】まとめ

最後に主題についてまとめましょう

板書された下人の気持ちの変化について考えさせます

「生きるために仕方のない悪は許される」

そういう短絡的な結論にならないようにしっかり説明しましょう

この時代の特殊性をしっかりと説明して

作者の意図を考えさせます

作者は本来「下人の行方は誰も知らない」ではなくて

「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。」

と書かれていたそうです

なぜ芥川はこのように改稿したのか

ここはいろいろな感想があっていい部分だと思います

生徒たちの記憶に残ることが何より大切なことだと

思うので正解を求めるは必要ないと私は考えています

性善説か性悪説か、どちらの立場であっても

高校生にしっかりと考える時間を取らせることが重要です

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