永訣の朝 

朗 読

本 文

語句の意味など

陰惨な雲(暗くむごたらしい感じ)

「永訣の朝」は宮沢賢治が妹、トシ(享年24歳)の死を悼んだ連作詩「無声慟哭」の巻頭の一篇です。(「春と修羅」に収められています) 

「とほくへいつてしまふ」…「遠くへ行ってしまう(死んでしまう)」という意味。

「おもてはへんにあかるい」…黒雲の間から光が差していて、どこか不気味な感じがする。悪いことが起こりそうな予感がしていることを表す。

「あめゆじゆとてちてけんじや」…「雨雪を取って来てください」 

青い(藍色)蓴菜模様の陶椀
    蒼鉛色(赤みを帯びた灰白色)ビスマス

  御影石(みかげせきざい)
 松の枝に積もったみぞれ

「二相系」は霙(みぞれ)が、個体の氷と液体の水の二つが混じり合っている(二相)ことを指しています。  

「やさしくあをじろく燃えてゐる」…消えかかる炎のようにどうにか命を繋いでいる。

「うまれでくるたて…うまれてくる」…「今度、生まれてくるときにはこんなに自分のことばかりで苦しまないように生まれて来ます」

「兜率(とそつ)の天」は、仏教用語で六欲天の第四天のことです。内院と外院があり、内院は将来仏となるべき弥勒菩薩 (みろくぼさつ) が住するとされ、外院は天衆てんしゅの住む所とされています。

  天部のイメージ(第四天が兜率天)

「兜率(とそつ)の天の食(じき)」は元々、「天上のアイスクリーム」となっていたものを後に宮沢賢治が変更しました。「兜率(とそつ)の天の食(じき)」には妹が転生する世界から降り注ぐ神聖な食べ物という意味があります。

「Ora Orade Shitori egumo」は「おら おらで しとり えぐも」のローマ字表記で、「私は私ひとりで行きます」という意味です。この言葉には兄と決別する妹の強い気持ちが込められています。 

「永訣の朝」は愛する妹の死と向き合った、宮澤賢治が自分の苦悩を書き記している詩です。しかし、彼はただ妹の死を嘆き哀しんでいるわけではありません。 

 宮沢賢治は日蓮宗(法華宗)の教えを守り、多くの人々の幸せを祈る純粋な人であったのです。だから、この詩は読む人の心を動かすのです。この兄妹には強い絆がありました。二人は自分のことは二の次にして、いつも人々の幸せを考えていました。 宮沢賢治が地域の人たちに農業の手ほどきをしたり、肥料を無料で分け与えたりしたのもこの崇高な魂があったからです。 

 妹が望んだ天上世界への転生は、彼女の死を持ってかなえられるのです。この詩の中で、兄はそれに気づき、悲しむのを止めます。そして、いつかまた二人でこの世界で人々の幸せを叶えることを心から願います。 

この詩を理解するには時間がかかるかも知れませんが、最後まで諦めず、じっくり考えてみてください。きっと、あなたの人生観が大きく変わることでしょう。 

 村人が来たとき自分の居場所が分かるようにしていた

※夏目漱石の「こころ」を読むと「K」という人物が登場してきます。そのとき、日蓮宗の話も出てきます。ここで学んだことを忘れずに「こころ」の学習にも繋げていってほしいと思います。

日 蓮

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