完璧 (十八史略)

白 文 

趙恵文王、嘗得楚和氏璧。
秦昭王、請以十五城易之。欲不与畏秦強、欲与恐見欺。
藺相如曰

「願奉璧往。城不入則臣請、完璧而帰。」

既至。
王無意償城。相如乃紿取璧、怒髪指冠、却立柱下曰、

「臣頭与璧倶砕。」

遣従者懐璧間行先帰、身待命於秦。
秦昭王賢而帰之。

生 徒 の 作 品

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書き下し文

ちょう恵文王けいぶんおうかつて楚の和氏かしへきを得たり。

秦の昭王、十五じょうつてこれへんことをふ。
与へざらんと欲すれば、秦の強きをおそれ、与へんと欲すれば、あざむかるるを恐る。

藺相如 りんしょうじょ はく、

「願はくは、璧を奉じてかん。 城らずんば、すなわちしん請ふ璧をまっとうして帰らん。」と。
すでに至る。

秦王城をつぐなふに意無し。
相如すなわ紿あざむきて璧を取り、怒髪冠どはつかんむりを指す。柱下に卻立きゃくりつして曰はく、

「臣がこうべは璧と倶に砕けん」と。

従者をして璧をいだきて間行してづ帰らしめ、身はめいを秦に待つ。
秦の昭王、けんとして之を帰らしむ。

口語訳

趙の恵文王が、楚の宝であった『和氏の璧』を手に入れた。
秦の昭王は、和氏の璧を手にしたいと思い、15の街と和氏の璧を交換してくれと申し出た。

恵文王は、「秦にこの宝を渡さないと言えば秦が怒って攻めてくることを恐れ、交換に応じればだまされるだろう」と恐れていた。
そこへ藺相如が「和氏の璧を持って秦に行きましょう」と申し出た。

(藺相如は)「街が手に入らなければ、和氏の璧を完全な状態で持ち帰ります」
と言って、秦に向かった。

秦の王には、街を与える意志は(最初から)なかった。
一度は献上した和氏の璧を藺相如は秦王から(上手く)取り返すと、髪の毛を逆立て(冠から出るほど)怒りをあらわにして、部屋の柱の下に立って言った。

「(街と交換でないなら)私の頭と一緒に、和氏の璧を粉々にするぞ」と。

捕らえられた藺相如は密かに従者の懐に和氏の璧を忍ばせて先に返し、自分は秦の王の判断が下るのを待った。
秦の照王は、(藺相如を)賢い者だと言って、趙の国に帰らせたということだ。

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