徒然草【第二百二十六段】

朗   読

【参考】10min.ボックス 徒然草(兼好法師) 

本   文

 後鳥羽院御時信濃前司行長、稽古のありけるが、楽府の御論義の番に召さて、七徳の舞を二つ忘れたり ければ、五徳の冠者と異名をつき けるを、心憂き事にして、学問を捨てて遁世たり けるを、慈鎮和尚、一芸あるものをば下部までも召し置きて、不便にせ aさせ給ひければ、この信濃入道を扶持し給ひけり
 この行長入道、平家物語を作りて、生仏といひける盲目に教へて語ら b けり。さて、山門のことを、ことにゆゆしく書け九郎判官の事はくはしく知りて書き載せたり蒲冠者の事は、よく知らざり ける や、多くのことどもを記しもらせ。武士の事、弓馬のわざは、生仏、東国の者にて、武士に問ひ聞きて書か c けり。かの生仏が生れつきの声を、今の琵琶法師は学びたる なり

【参考】徒然草 現代語訳つき朗読 

本文中の助動詞

けり」「」「たり」「」「さす」「」「

」「なり

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問題(す・さす・しむ)

問一 傍線部の助動詞の意味と活用形を答えよ。

問二 以下の「しめ」と意味が同じものを(1)~(3)から選び、番号で答えよ。

 ()このぬさの散る方に、御船すみやかに漕がしめたまへ。 

 (1)やがて山崎にて出家せしめ給ひて

 (2)おほやけも行幸みゆきしめ給ふ。

 (3)人を感動せしむること、真なるかな。

問三 傍線部 「せ」と意味が異なるもの・・・・・を次の(1)~(3)から一つ選び、番号で答えよ。

 (1)黒戸は、小松御門位につか給ひて、

 (2)左右の袖を人に持たて、

 (3)いその禅師といひける女に教へて舞はけり。

問四 次の(1)~(3)の( )内の助動詞を活用させよ。

 (1)愚かなる人の目をよろこば(しむ)楽しみ

 (2)或る人の尋ね(さす)給ひしに

 (3)華厳院弘舜僧正、解きてなほさ(す)けり。

問五 本文の内容と合致しないもの・・・・・・・・を次から一つ選び、記号で答えよ。

 (ア)行長は「七徳の舞」のうち二つを忘れて不名誉なあだ名をつけられた。

 (イ)琵琶法師は生仏の生まれた東国なまりの声を真似をしていた。

 (ウ)『平家物語』には源範頼のことが大げさに詳しく書かれている。

 (エ)慈鎮和尚は一芸ある者の世話をしたので、行長の生活も世話した。

模 範 解 答

問一 a 尊敬・連用形 b 使役・連用形

問二 (3)

問三 (1)

問四 (1)しむる (2)させ (3)せ

問五 (ウ)

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