徒然草【第百六段】

朗  読

【参考】10min.ボックス 徒然草(兼好法師) 

本  文

 高野証空※1上人、京へのぼりけるに、細道にて馬に乗りたる女の行きあひたり けるが、口ひきける男、あしくひきて、の馬を堀へ落とし けり
 聖いと腹悪しくとがめて、「こは希有狼藉かな。四部の弟子はよな、比丘よりは比丘尼は劣り、比丘尼より優婆塞は劣り、優婆塞より優婆夷は劣れ。かくのごとくの優婆夷などの身にて、比丘を堀へ蹴入れさする未曾有の悪行なり」と言は【 A 】ければ、口ひきの男、「いかに仰せ aらるる やら※2こそ聞き知ら」と言ふに、上人なほいきまきて、「何と言ふぞ、非修非学の男」と荒らかに言ひて、きはまりなき 放言と思ひける気色にて、馬ひき返して逃げ【 B 】 けり
 ①尊かりけるいさかひなる べし

(注)※1「証空上人」は伝不詳。 ※2「やらん」の解説

【参考】徒然草 現代語訳つき朗読

本文中の助動詞

けり」「たり」「」「」「さす」「なり

らる」「む(ん)」「」「」「べし

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問題(る・らる)

問一 【A】・【B】にそれぞれ「る」「らる」のどちらかを適当な活用形にして入れよ。

問二 傍線部a「らるる」を文法的に説明せよ。例)〇〇の助動詞「〇〇(終止形)」の○○形

問三 次の(1)~(4)の傍線部の文法的意味を答えよ。

 (1)〔鼎を〕抜かんとするに、おほかた抜かず。
 (2)〔私に〕問ひつめられて、え答へずなり侍りつ。
 (3)〔後嵯峨院は〕大井の土民に仰せて、水車を造らせられけり。
 (4)梅の匂ひにぞ、いにしへの事も、立ちかへり恋しう思ひ出でらるる

問四 次の【 】に「る」「らる」をそれぞれ活用させて入れよ。

 (1)名を聞くより、やがて面影は推しはから【る】心地するを、
 (2)さやうの所にてこそ、よろづに心づかひせ【らる】。
 (3)〔後嵯峨院が〕亀山殿建て【らる】んとて、地を引か【る】けるに、     

問五 傍線部①、なぜ「尊かりける」と述べているのか。適当なものを次の中から一つ選んで、記号で答えよ。

 (ア)馬を引いていた男が仏道の理念にかなった発言をしたから。
 (イ)馬を引いていた男が上人をやりこめる発言をしたから。
 (ウ)上人が馬を引いていた男をまったく相手にしなかったから。
 (エ)上人が俗人のように怒鳴ったことをすぐに反省したから。
 (オ)上人と馬を引いていた男とが互いに対等に議論をしたから。

模 範 解 答 

問一 【A】れ 【B】られ

問二 尊敬の助動詞「らる」連体形

問三 (1)可能 (2)受身 (3)尊敬 (4)自発

問四 (1)るる (2)らるれ (3)られ れ

問五 (エ)

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