徒然草【第百七十七段】

朗   読

【参考】10min.ボックス 徒然草(兼好法師) 

本   文

 鎌倉の中書王にて、御あり aけるに、雨降りてのち、いまだ庭のかわか bざり ければ、「いかがせ」と沙汰ありけるに、佐々木の隠岐の入道、を車に積みて、多くたてまつりたり ければ、一庭に敷かて、泥土の煩ひなかりけり。「取り溜めけん用意ありがたし」と、人感じあへ けり

 このことを、ある者のかたり出でたり cに、吉田中納言の、「乾き砂子の用意やはなかりける」とのたまひたり dしかば、恥づかしかり。いみじと思ひける鋸の屑、いやしく、異様のことなり。庭の儀を奉行する人、乾き砂子を設くるは、故実なりとぞ

【参考】徒然草 現代語訳つき朗読

本文中の助動詞(登場順)

けり」「」「む(ん)」「たり」「

けむ(けん)」「」「」「なり

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問題(ず・き・けり)

問一 傍線部の助動詞の終止形と活用形を答えよ。

問二 次の(1)~(4)の( )内の助動詞を正しく活用させて書け。

 (1)雪のおもしろう降りたり(き)朝

 (2)竜は鳴る神の類にこそあり(けり)。

 (3)もろともにこそ笑ひ(き)。

 (4)なにくれと挑むことに勝ちたる、いかでかうれしから(ず)む。 

問三 次の傍線部の説明として適当なものを、後からそれぞれ選び記号で答えよ。

 (1)鋸の屑を車に積みて、多くたてまつりたりけれ

 (2)独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。  

 (3)冬枯れのけしきこそ、秋にはをさをさ劣るまじけれ。  

 (4)「さ候へばこそ、世にありがたき物には侍りけれ。」  

  (ア)過去の助動詞の已然形      (イ)詠嘆の助動詞の已然形

  (ウ)形容詞の已然形活用語尾の一部  (エ)その他  

問四 傍線部「故実なりとぞ」について、以下の設問に答えよ。

「故実なりとぞ」は「(予め乾いた砂を用意しておくのが)昔からの作法だそうだ。」という意味である。文意に合うように「故実なりとぞ」の後に省略されている語句(古語)を答えよ。

模 範 解 答

問一 a けり 連体形 b ず 連用形 c き 連体形 d き 已然形

問二 (1) し (2) けれ (3) しか (4) ざら

問三 (1) ア (2) ウ (3) エ (4) イ

問四 言ひける(言ふ) 

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