徒然草【第百二十五段】

【参考】10min.ボックス 徒然草(兼好法師) 

朗  読

本  文

 人におくれて、四十九日の仏事に、ある請じ侍りに、説法 いみじくして、皆人、涙を流しけり導師帰りて後、聴聞の人ども、「いつよりも、ことに今日は尊く覚え侍り aつる」と感じ合へ 返り事に、ある者の言はく、「何とも候へ、あれほどに似候ひ 上は」と言ひたり に、あはれさめて①をかしかりけりさる導師のほめやう やはあるべき

 また、「人に酒勧むるとて、おのれまづたべて、人に強ひ奉らとするは、剣にて人を斬らとするに似たるなり二方に刃つき bたるものなれば、もたぐる時、まづ我がを斬るに、人をば斬ら なりおのれまづ酔ひて臥し cば、人はよも召さ」と申し。剣にて斬り試みたり ける や。いとをかしかり

【参考】徒然草 現代語訳つき朗読

本文中の助動詞

」「けり」「」「」「」「む(ん)

たり」「べし」「」「なり」「

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口 語 訳

問  題

問一 の助動詞の文法的意味と活用形を答えよ。

問二 「な」と同じ品詞のものを次から一つ選んで記号で答えよ。

 (ア)花咲きむ。

 (イ)花咲かむ。

 (ウ)その人かたちよりは心むまさりたりける。

 (エ)東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春忘れそ

問三 次の(1)~(4)の( )内の助動詞を正しく活用させて書け。

 (1)清盛公いまだ安芸守(たり)し時

 (2)五十の春を迎へて、家を出で世を背け(り)()

 (3)昼ならましかば、のぞきて見たてまつり(つ)まし 

 (4)この男、垣間見(つ)けり。            

問四 傍線部①・②「をかしかり」とあるが、作者はどんな事についてそう思ったのか。①・②の答えとして適当なものをそれぞれ一つ選び、記号で答えよ。

 (ア)法事で人々が涙を流している時、場を盛り上げようとしてある人が皆を笑わせたこと。

 (イ)法事の折、人々が説法に感動している時、ある人が導師を嘲笑したこと。

 (ウ)ある人が、人に酒を勧めることを剣で人を斬ることに例えたこと。

 (エ)ある人が、人に酒を勧めようとしたが、先に寝てしまった失敗談をしたこと。

模 範 解 答

問一 a 完了 連体形 b 存続 連体形

問二 (ア)

問三 (1) たり (2) り (3) て (4) て

問四 ① (イ) ② (ウ)