「む」
助動詞が苦手!というあなたに百人一首から助動詞を解説します
まずは相模 (さがみ)の和歌からです!
恨みわび/ほさぬ袖だに/あるものを/恋に朽ちなむ/名こそ惜しけれ
読み方は↓
うらみわび/ほさぬそでだに/あるものを/こいにくちなん/なこそおしけれ
ちなみに名こそおしけれ→「こそ/おしけれ」は「係結び」「こそ~けれ」ではありません
「けれ」は「おし(形容詞 ク活用)」の已然形活用語尾
この歌の意味は↓
恨む気力もなくなって涙を乾かす暇もない着物の袖さえ惜しいのに恋で朽ちて行くだろう私の評判が惜しいのです。
着物の袖さえ惜しい(涙で濡れてボロボロになるから)
恋で朽ちて行くだろう(尻軽女だという悪い噂が立つから)

「朽ち/な/む」 について解説します
朽ち→「朽つ」(動詞 タ行上二段活用 連用形)
な→「ぬ」(助動詞 強意 未然形) む→「む」(助動詞 推量 終止形)
助動詞は一つずつ覚えて行きましょうね!
助動詞 「む」の活用は
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
○ / ○ / む / む / め / ○
「む 」は終止形と連体形の二つありますが
「名」という名詞に続きますから連体形ですね
「む」の意味は
推量 (~だろう) ←三人称が主語
勧誘・適当 (~しよう・~するのがよい) ←二人称が主語
意志 (~よう) ←一人称が主語
仮定・婉曲 (~たとしたら・~のような)
※「すい(推)・てき(適)・か(仮)・かって・え~ん(婉)」
と覚えてもいいでしょうね
「て・む」「な・む」「つ・べし」「ぬ・べし」
は「強意」+「推量」あるいは「意志」となる
訳し方は「きっと(必ず)~だろう」「きっと(必ず)~しよう」ですね
※100%こうなるわけではありませんが多くの場合この考え方で大丈夫
ここでの意味は推量だから「~だろう」ですね!(ただし、婉曲とみる説もあります)
「じ」
次は清少納言の登場です!

夜をこめて/鳥の空音は/謀るとも/よに逢坂の/関は許さじ
よをこめて/とりのそらねは/はかるとも/よにおおさかの/せきはゆるさじ
読み方は↓
となる。「よをこめて」「そらね」「はかる」「おおさか」は読めないかも…?
この歌の意味は↓
夜がまだ明けないうちに鶏の鳴き真似をして人をだまそうとしても(函谷関かんこくかんならともかく)この逢坂の関は決して許さないでしょう。(だまそうとしても、私は決して逢いません。)

↑こちらが世界遺産の函谷関
ちなみにこの歌の「よに」は「決して」という意味です。
「逢坂の関」は男女が夜に逢って過ごす「逢ふ」を掛けた掛詞
「逢坂の関を通るのは許さない」という表の意味と「あなたが逢いに来るのは許さない」という2つの意味を掛けています

続いて「じ」について
さて、みんなの苦手な助動詞ですが
ゆるさ/じ
とあって二つに別れます(品詞分解でしたね!)
許さ→ 「許す」(サ行四段活用 動詞)
じ → 「じ」(打消推量 助動詞) です!
助動詞は一つずつ覚えて行きましょうね
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
○ / ○ / じ / じ / じ / ○
↑「じ」は超簡単
この「じ」は終止形です なぜ終止形か?
だって、下に「。」がつくでしょう?
打消推量っていうのは「~ないだろう。~(する)まい」っていう意味ですね。
「~まい」って覚えておくと口語訳するとき超便利!!
「じ」を見たら「~まい」で大丈夫です
「じ」の意味は
打消推量 (~だろう) ←三人称が主語
打消意志 (~よう) ←一人称が主語
※そもそも「じ」は「む」の打消しなのでセットで覚えるといいですね
「む」の意味に打消つければ「じ」の意味になる(仮定や婉曲は打ち消しできないね!)
「べし」の打消しは「まじ」については別の記事で!
では、最後に豆テストで確認!
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