【らむ】
助動詞が苦手!というあなたへ!
百人一首から文法を解説します!
ここでは藤原兼輔です!
みかの原/わきて流るる/泉川/いつ見きとてか/恋しかるらむ
読み方は↓
みかのはら/わきてながるる/いずみがわ/いつみきとてか/こいしかるらむ
いつみきとてか恋しかるらむ ←係り結び
意味は
みかの原(瓶原)から湧き出てそこを二分するようにして流れる泉川ではないが、いったいいつ逢ったといって、こんなに恋しいのだろうか。(一度も逢ったことがない)
↓泉川

会ったこともない女性に恋してるなんてビックリ!
二つの掛詞がある歌なんですね。
「分ける」と「湧ける」を掛け、泉(いずみ)と「いつみ(見)」を掛けています。
この掛詞を意識して口語訳するのは大変
さて、「らむ」ですが
恋ひしかる/らむ
恋ひしかる→「恋ひし」の(形容詞 連体形)
※「らむ」は終止形(ラ変型は連体形)に接続←「ウ」段の音に付きます
らむ → らむ(助動詞 現在推量 連体形) 係り結びに注意!
助動詞 「らむ」の活用は
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
○ / ○ / らむ / らむ / らめ / ○
現在推量は「今ごろ~だろう」(目には見えない現在のことを推量する)と訳す。
もうひとつ、有名な和歌を紹介します
ひさかたの/光のどけき/春の日に/しづ心なく/花の散るらむ
紀友則(きのとものり) 〈古今・春下・八四・〉 これも百人一首の歌です。
日の光がこんなにものどかな春の日にどうして桜の花は(こんなに)落ちついた心(様子)もなく散っているのだろうか。
「ひさかたの」は「光」の枕詞。
「花の散るらむ」の「の」は主格の格助詞(が)
「らむ」は現在の原因推量の助動詞「らむ」の連体形(連体止め)
どうして…なのだろう、の意。
①〔現在の推量〕今ごろは…しているだろう。▽目の前以外の場所で現在起こっている事態を推量する。
②〔現在の原因の推量〕…(のため)だろう。どうして…だろう。▽目の前の事態からその原因・理由となる事柄を推量する。
③〔現在の伝聞・婉曲(えんきよく)〕…という。…とかいう。…のような。▽多く連体形で用いて、伝聞している現在の事柄を不確かなこととして述べる。
疑問の意味になる場合「らむ」は現在の原因推量を表す。
桜の花を擬人化(おだやかな心もなく散っていく)して、散りゆく桜を惜しむ気持ちを詠んだ歌。
のどかな春の日と、しきりに散る桜を対比する。
【けむ】
我(あ)を待つと/君が濡(ぬ)れけむ/あしひきの/山のしづくに/ならましものを
石川郎女(いしかはのいらつめ)〈万葉・二・一〇八・〉
意味は
わたしを待っていてあなたが濡れたとかいう、(あしひきの)そういう山のしずくになれたらよかったのに。
「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。
「濡れ」→「濡る」の連用形
※「けむ」は連用形に接続
「けむ」は過去の伝聞の助動詞「けむ」の連体形。
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
○ / ○ / けむ / けむ / けめ / ○
「けむ」の意味は
①〔過去の推量〕…ただろう。…だっただろう。
②〔過去の原因の推量〕…たというわけなのだろう。(…というので)…たのだろう。▽上に疑問を表す語を伴う。
③〔過去の伝聞〕…たとかいう。…たそうだ。
「ましものを」は、反実仮想の助動詞「まし」に、逆接の助詞「ものを」が付いて
「…だったらよかったのに」の意を表す。

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